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ガイガーカウンター SE International Inspector+ レビュー

おたかさんから SE International Inspector+ をお借りすることができました.ありがとうございます.
Coliy 900+ に続いて Inspector+ もレビューして欲しいとの連絡があり,お借りすることになりました.

SE International Inspector+ について

SE International Inspector+ はガイガーミュラー管を使用した放射線測定器(ガイガーカウンター)です.
福島事故以前から有名な機種で,事故直後にも多く利用されていました.
α線・β線に対して感度がありますが,標準ではα・β線込みでSv/h表示されるため, 表示値を誤解されることが多い機種でもありました.

特徴としては,

α線・β線・γ線を検出
α線・β線・γ線すべてを検出できるタイプのガイガー管が搭載されています.
また,β線への感度が高いタイプのGM感ですので,表面汚染の調査に適しています.
タイマー機能
一定時間を設定し,その間のカウント数を記録することができます.
時間を掛けてより正確な線量率を求めたり,少ないα線やβ線を検出したいときに活用できます.
アラーム機能
一定の線量率やカウント数を設定して,その数値を超えたらアラームを鳴らすことが可能です.

測定器

お借りした SE International Inspector+ はこんな感じです.
上部に,タイマーの On/Set/Off のスライドスイッチと,-・Set・+のボタンがあります.
こちらはタイマー機能を使ったり,タイマーの時間を設定する時などに使います.

背面にGM管があります.

β線に感度がある他のGM管の測定器では,開け閉めできる窓が付いていることが多いのですが, この機種にはそういった構造はありません.
その代わり,かなり目の細かいメッシュ状の金属で保護されています.

他機種では,簡単な保護のものが多いため,細い指や木の枝などであれば, GM管に突き刺さる恐れがあり,注意が必要です.
Inspector+ の場合,かなり目が細かいメッシュですので,そういった心配があまりありません.
β線測定をメインに考える場合,このメッシュ状になっているカバーはGM管を破損しにくく,扱いやすいと思います.

もちろん,細いものなら中のGM管を傷つける恐れはありますので,取扱に注意は必要ですが, 誤って破損してしまうリスクは小さいと思います.

なお,汚染が実際にある場所で測定する場合は,放射性物質がGM管に付着しないように, ビニール等に入れて利用する必要があります.

裏側には電池ボックスが有り,9Vの角形電池を使います.
本体側面には,入出力端子があります.(PC接続用)

測定器の大きさ

測定器の大きさは次のような感じです.

本体は軽い感じがしますが,大きさはそこそこあります.
DSiより一回り大きく,厚さもあります.

鞄の中などにいれる場合は,GM管の保護も必要ですので, ケースのサイズも考えると,結構大きさはある機種です.

γ線測定用の遮蔽

Inspector+ のGM管は,α線・β線にも感度がありますから, Sv/hで空間線量を測定するときは,α・β線を遮蔽する必要があります.

参考:ガイガーカウンターでのβ線測定時の誤った表示について

メーカーは,ワイプテストプレートというオプションを発売していますが, なかなか入手が難しかったりするため,アルミ板を使って自作でカバーする方が多いようです.

おたかさんからも,自作のアルミ板によるものを一緒にお借りしました.
まず,こちらが厚さ3mmのフィルタです.

測定器を入れるところにはクッションが付いており,ぴったりとはまるように作られていました.
(ただ,タイマーモードのスイッチは,取り出さない押せませんでした(^^;)

上の写真のものは3世代目だそうで,1つ前に作られたものもお借りしました.
下の左側の写真がそちらになります.

2世代目と3世代目では,かなりアルミの厚さが違います.

β線の飛程の計算ツールでβ線のアルミニウム中での最大飛程を計算できるので, この飛程より分厚いアルミ板であれば,完全に防ぐことができるはずです.

セシウム137で,最大1.87mm,Sr90の娘核種のY90で4.08mmですので,3mmもあれば十分です.
β線は,いろいろなエネルギーの放射線になりますが,最大飛程までいくケースはほとんどありません.
ほぼ最大飛程の半分以下で止まることが多いため,最大飛程の半分くらいの厚さがあれば十分かと思います.

そう考えると,Sr90(とその娘核種のY90)に対して,2世代目の厚さは少し足りないかもしれません.
こちらについては後ほど検証します.

測定機能

Inspector+ は,比較的シンプルな作りで,モードの切り替えなどはスライドスイッチで行います.

操作は次のように行います.

電源スイッチ(Off,On,Audio)
電源スイッチです.Offはその通り電源オフですが,Onは音無しで電源オン,Audioは音有りで電源オンです.
Audioにすると放射線音を検出するたびに音が鳴ります.
赤いランプも点灯しますので,それとあわせて放射線量を直感的に理解しやすくなっています.
モードスイッチ(mR/hr μSv/hr,CPM CPS,Total/Timer)
測定モードを切り替えます.
「mR/hrとCPM」「μSv/hrとCPS」はそれぞれペアになっており,設定を変えることでどちらかにできます.
この仕様のため,普段μSv/hrで使う場合は,CPMでの測定を行うのはなかなか面倒です.
CPSは整数表示なので,μSv/hrで使う場合は,実質CPSモードはあまり使うことがないと思います.
CPMは使えませんが,カウント数を調べた場合はTotal/Timerモードを使うことができます.
タイマースイッチ
タイマーを使った測定を開始するためのスイッチです.
Set にスライドしてからプッシュボタンで測定時間を設定し,On にスライドするとその時間でのカウント数を測定します.
プッシュボタン
タイマースイッチを Set にしたときに,タイマー時間を設定するのに使用します.
また,設定モードで測定器の設定をする場合にも使います.

音について

タイマーモードを使う場合など,電源スイッチがOnの位置でも,ブザーが鳴ります.
On/Audio の違いは,放射線検出時の音についてのみのようで,タイマーのブザーや,電源投入後30秒後になるブザーなどは消せません.
(30秒間の平均値を表示されるため,電源投入後30秒は表示される数値が正しくありません.そのため30秒後にブザーで知らせてくれるようです.)

ブザーをオフにすることができないため,静かにしなければならないような場所で使うのは難しいです.

測定モード

mR/hr μSv/hr モード
線量率を表示します.
α線・β線を含めたときも数値は表示されますが,線量率として正しい数値になるのは, α・β線をワイプテストプレートやアルミ板などで遮蔽した場合だけになります.
サンプリング時間は,線量率に応じて3秒・6秒・30秒で切り替わりますが,約18μSv/hまでは30秒なので,通常は30秒のサンプリング時間になります.
(設定で,常に3秒に設定することもできます)
CPM CPS モード
放射線の1分あたり,または1秒あたりのカウント数を表示します.
単位を μSv/h にすると,自動的にこちらは cps になりますが,整数表示であるため, このモードはあまり使うことはないと思います.
1cps = 0.18μSv/h くらいなので,それ以上の線量でないと反応しません.
Total/Timer モード
後述するタイマーを使って測定を行うときに,その合計カウント数を表示します.
一定時間の間でのカウント数を測りますが,1分以上の長い時間を指定して測定できるため, 線量率を正確に知りたい場合や,軽微な汚染を判別したい場合に有効です.

タイマー機能

Inspector+ は,タイマーを使って一定時間の放射線のカウント数を測ることができます.
この機能を使うことで,低い線量率で安定した線量率を計算で求めたり,バックグラウンドと測定対象のカウント数を測り,汚染の有無を確認することができます.

タイマー機能を使うには,まず測定モードを Total/Timer に切り替えます.
本体上部のタイマースイッチを Set にした後,設定ボタンの +/Set/- を使って測定時間をセットします.

その後,タイマースイッチを On にすれば,そこから測定が開始されます.
測定中は,画面に砂時計が点滅表示され,それまでのカウント数が表示されます.

測定中に測定モードを μSv/h や cps モードに切り替えると,それぞれのモードの数値を確認できますが, 裏ではちゃんとタイマー測定は継続しています.

設定したタイマー時間が経過すると,「ピピピッ」というブザーが3回鳴り,Total/Timer モードで合計のカウント数を確認できます.
また,タイマー測定終了後は,砂時計マークが点滅から点灯に変わります.

もう1度測定する場合は,タイマースイッチを On 以外の場所に切り替えてから,再度 On にします.


本体をアルミケースに入れているなどして,上部のタイマースイッチが使いにくい場合は,電源スイッチとモードスイッチを上手く使うとタイマーの開始操作やリセット操作ができます.

ケースに入れた後にタイマー測定を開始したい場合は,モードスイッチを μSv/h か cps にあわせた状態で,タイマースイッチを On にします.
その後,ケースにしまってから,モードスイッチを Total/Timer に切り替えると,そのタイミングから測定が開始されます.

また,測定が完了後,再度測定する場合は,電源を Off にした後,再度 On・Audio にします.
モードスイッチが Total/Timer にある場合は,一度それ以外のモードにしてから再度 Total/Timer にすれば,測定が開始されます.
モードスイッチが Total/Timer 以外の場合は,Total/Timer に切り替えれば測定が開始されます.

タイマーの時間を変更することはできませんが,この方法で本体上部を囲うようなケースに入れたままでも複数回の測定ができます.

アラーム機能

Inspector+ は,アラームを設定して,設定値の mR/h または μSv/h を超えたときや,cpm・cps を超えたときにアラームを鳴らすことができます.

他の測定器のように,常時設定したらアラームが有効になる形では無く, 電源をONにした後,μSv/h モードや cps モードにしてから,SETボタンでアラームをONにする必要があります.

SETボタンを1回押すと設定モード,もう1回押すとアラーム有効での測定モード,もう1回押すとアラームが無効になります.

設定の変更

+ボタンを押しながら電源を入れることで,メニューモードになり設定を変更することができます.
設定を変更できるのは次のような項目です.

サンプリング時間
サンプリング時間を,線量率に応じて3秒・6秒・30秒で切り替えるか,常に3秒にするかを選択できます.
測定単位
mR/hr と μSv/hr のどちらを使うかを選びます.
この設定に連動して,CPM CPS の設定も切り替わります.
校正係数の設定
カウント数に係数を掛けて μSv/hr の数値に換算しますが,この換算係数を変更できます.
通常は使う必要は無いと思います.
工場出荷時の設定へのリセット
μR/hr・CPMに,校正係数100が標準ですので,その数値にリセットします.

γ線の測定

Inspector+ でγ線を測定するときは,α・β線を遮蔽する必要があります.

メーカーは,ワイプテストプレートというオプションを販売しており, こちらを購入するのが確実です.

しかし,入手しにくいこともあるため,自作でアルミケースを作成されるケースが多いようです.
今回は,自作されたアルミケースもお借りしましたので,そのβ線遮蔽効果を確認してみました.

β線の遮蔽

1分間のカウント数を測定しました.

線源 ケース無し アルミケース(薄) アルミケース(厚)
なし 20
Sr-90 14.81×1000 578 60
Cs-137 3214 77 58

それぞれのカウント数を見ると,アルミケースの遮蔽効果がかなりあることが確認できます.

β線の飛程の計算ツールでβ線のアルミニウム中での最大飛程を計算できますが, この飛程より分厚いアルミ板であれば,完全に防ぐことができるはずです.

セシウム137で,最大1.87mm,Sr90の娘核種のY90で4.08mmですので,3mmもあれば十分です.

Cs-137 はγ線も出すので,上記のアルミケース薄・厚では何も無い時より高くなっていますが, ケース無しと比べるとほとんどのβ線を遮蔽できていることが分かります.
Cs-137 はエネルギーが弱く,最大飛程も短いので,薄いアルミケースでも十分な効果があるようです.

Sr-90 はγ線を出しませんが,娘核種の Y90 が出すβ線のエネルギーが高く,最大飛程は4mmです.
厚い方のケースでカウント数が何も無い時より高くなったのは,エネルギーの高さにより一部が遮蔽しきれなかったことと, 制動放射によってX線(=γ線)が出たことによるのではないかと思います.
(制動放射というのは,β線が周囲の金属などに当たったときに,そこからX線がでることです.)

エネルギーが高いためか,薄い方のケースでは,やはりすり抜けが多いようで, 厚い方と比べると明らかにカウント数が多くなっています.

しかし,ケース無しが 14810 に対し,578 カウントまで減らせていますから,大部分は遮蔽できています.

現在は,環境中の Sr-90 の量は Cs-137 に比べて少ない状況と考えられていますから, 薄いアルミケースでも十分な遮蔽効果があると言って良いと思います.

Sr-90 が気になる場合や,なるべく正確に測定したい,ということであれば, 3mm くらいの厚いアルミケースを用意するのが良さそうです.

数値のばらつき

感度が334cpm/μSv/hと,GM管の測定器の中ではかなり高い感度を持っています.
それでも,0.06μSv/h程度の低い線量率では,かなり数値がばらつき,平均的な線量率を読み取るのが困難です.

以下に測定器毎の差についてまとめていますので,あわせてご覧下さい.
参考:線量率の変動比較・第7回 (2011/12/18)

こういった低線量環境で測定をする場合,タイマーモードを使い,カウント数を求めてから, 自分でμSv/hに換算するのが良いと思います.

例えば,10分間のタイマーで176カウントした場合,
176 ÷ 10 ÷ 334 = 0.0527 μSv/h
のように計算できます.

自己ノイズ

鉛ブロックで囲って自己ノイズを測定したところ,0.02~0.08μSv/hほどありました.
サンプリング時間が短いためばらつきが大きいですが,一般的なガイガーミュラー管の機種と同じくらいの自己ノイズがありますので, 特に低い線量で使う場合は,若干高めにでると考えた方が良いと思います.

参考:ガイガーカウンターの自己ノイズ 第3回 (2011/10/24)

反応速度

Cs-137線源・複数の密封線源を近づけたときの反応の様子を撮影しました.

次の順序で試しています.

アルミケースでの遮蔽をすると,γ線のみになるので,やはり反応速度はそんなに良くありません.
GM管を使った測定器の中では優秀な機種ですが,サンプリング時間が30秒なので反応はゆるやかです.

アルミケースでの遮蔽をしない場合は,β線を検出するため,すぐに反応を確認できます.
Inspector+ のGM管はγ線より,β線に対する感度の方がずっと優れているので, 汚染を探すときはβ線を使って遮蔽せずに測定すると良いと思います.
(ただし,このとき画面に表示されるμSv/hは,線量率を表していません)

表面汚染の測定

アルミケースを使わず,α・β線を含めて表面汚染の測定を行ってみました.

測定対象のものが無い時と有る時で2回測り,その差を確認することで, 汚染があるかどうかを判別します.

Inspector+ のGM管は,β線に対して非常に高感度なので,微量の汚染でも見つけやすくなっています.

測定方法・判定方法

汚染を測定する場合,対象の物がない時とある時の2回測定し,そのカウント数の差から判断します.

ただし,カウント数に差があったからといって,そこにβ線の汚染があるとは限りません.
放射線はランダムに出るため,そういったばらつきの範囲内である可能性もあります.

そこで,統計的な計算を行い,判定を行うツールを使います.
以下のリンク先に使い方の説明を記載していますので,参考にしてください.
参考:放射線測定器(ガイガーカウンター)のカウント数の有意差計算ツールで差を検証する

使い方としては,単純に測定時間と,そのカウント数を記入し,計算させるだけです.
このとき,「危険度0.27%で差は有意?」に「有意差あり」と表示されれば,「汚染あり」と判断して良いと言えます.

また,p値というのが,汚染ありと判定したとしたときに,本当は汚染が無いのに,汚染ありと誤判定してしまう確率を表しています.
これが0%なら,確実に汚染ありと言えることになりますし,5%なら,5%の確率で本当は汚染がないのに汚染ありと判断するということになります.

以下の測定結果では,p値を記載しています.
これが 0.27% 以下であれば,一般的には「汚染あり」と判断できると言うことになります.
もし 0.27% 以上で,かつ小さめの数値である場合は,更に測定を行って,汚染があるかどうか調べることができます.

その場合は,ツールには合計の測定時間と,合計のカウント数を記入します.
例えば,10分測って,対象物なしで123,対象物あり155だったとします.
この場合は,p値は5.5%で,危険度5%でも有意差が無いという判断になります.
ツールでの計算結果

更に20分ずつ測定を重ねて,今度は対象物なしが251,対象物ありが313だったとします.
先ほどと合計すると,測定時間はそれぞれ30分,カウント数は対象物なしが 123 + 251 = 374,対象物ありが 155 + 313 = 468 となります.
同様にツールで計算すると,p値は0.12%となり,汚染ありと判断できます.
ツールでの計算結果

測定結果

測定場所 カウント数(10分間) 差のp値(両側検定) コメント
鉛ブロックの上
294 まず何もないところで測定を行いました.
この数値と,物を置いて測定した時の結果の差を調べていきます.
昆布
631 0.00000000000000000000%
ツールでの判定結果
乾燥昆布を測定してみました.
昆布にはカリウムが含まれているため,そのβ線を検出できたのだと思います.
やさしお
1835 0.00000000000000000000%
ツールでの判定結果
やさしおを測定してみました.
やさしおは,塩分の半分をカリウムに置き換えた塩です.
カリウムには天然の放射性カリウムが含まれるので,そのβ線を検出できたようです.
マントル(放射性物質あり)
25.46×1000 0.00000000000000000000%
ツールでの判定結果
昔に販売されていたマントルです.
放射性物質がかなりあることが分かります.
マントル(放射性物質なし)
252 7.2%
ツールでの判定結果
最近販売されていたマントルです.
放射性物質は使っていないようです.

危険度7.2%となっていますが,何も無い時よりカウント数が低いので,そのことからも誤差の範囲内ということがわかります.
ストロンチウム(Sr-90)線源
165.0×1000 0.00000000000000000000%
ツールでの判定結果
β線のみを出す線源です.
かなりカウント数が高くなっています.
セシウム(Cs-137)線源
47.57×1000 0.00000000000000000000%
ツールでの判定結果
セシウム線源です.
β線・γ線を共に出しますが,β線の影響でカウント数はかなり高くなっています.
(アルミケースに入れるとここまでの差はでません)
3月に使っていた吸気口フィルタ
3016 0.00000000000000000000%
ツールでの判定結果
花粉がキャッチできるフィルタを部屋の吸気口につけているのですが, 3月頃に使っていたフィルタを交換後保存しておいたものを測定しました.
こちらもはっきりと汚染を確認できます.

上記の測定結果から,10分もはかれば非常にはっきりと汚染の有無が判定できると言えそうです.
他の測定器では,ここまではっきりとした差はなかなか出ないので,β線に対する感度がかなり優れているのではないかと思います.

最初に10分と決めたので全部10分ずつ測ったのですが,実際には明らかにカウント数が違っており, 音やランプの点滅状態ですぐに判別できる物も多いと感じました.

実際にツールを使って判定する必要があるのは,あるかどうか判断が微妙な場合のみで良いと思います.
よほど微量の放射線を測るときでは無い限り,測定時間は1分くらいで十分かと思います.

PCソフトウェア

オプションのPCソフトウェアを使うことで,PC側でグラフ表示したりできるようですが, 今回こちらのソフトウェアはお借りしていないので試していません.

英語マニュアルに機能について記載があります.

線量率の比較

測定値の実際の値の比較・線量率の変動のテストを行いました.以下も参照して下さい.
参考:線量率の変動比較・第7回 (2011/12/18)

サンプリング時間が30秒なので,通常のμSv/h表示モードは,低線量には向かないようです.
低線量ではタイマーモードを使う必要がありそうです.

表示される線量率は,アルミ版の遮蔽を併用すると,ほぼ他のGM管の機種と同等くらいでした.

まとめ

表面汚染調査向きとして,β線に高い感度を持つGM管機種として,使い勝手が良い機種です.

β線遮蔽を行うオプションが標準で付いていないのが残念なところですが, GM管のしっかりした保護,シンプルな機能,タイマー機能によって使い勝手がよいと感じます.

特にGM管のメッシュ状のカバーについては,他の機種と違ってずいぶんと安心感があります.

一方,機能がシンプルなので,γ線とβ線の量を別々に知りたいとか,積算線量を知りたいとか, 常に持ち歩いて線量率が高くなったらアラームを出して欲しい,といった目的には使えません.

この機種は,表面汚染の有無を知る,表面汚染がある場所を調べる,といった目的での利用がおすすめです.
実際にその目的で使う場合は,使い勝手が良いと思います.

リンク