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ガイガーカウンターの自己ノイズ 第3回 (2011/10/24)

ガイガーカウンターには自己ノイズがあって,低線量では高めに数値が出るという話を聞きます.

それを確かめるべく,鉛ブロックで囲み,測定器を中に入れて線量を測ってみました.

通常であれば,複数回測定して平均値を取るべきなのですが,今回は0.00になるかどうか?という視点で調べたので, 表示された中の線量率のうち,小さいものをピックアップして記載しています.
(あまりに値がばらつく場合は範囲で記載しています)

自己ノイズとして平均的に加算される線量率として見た場合,下記の数値は正しくなく, 実際はもっと大きな差があることになりますので,ご注意ください.

測定結果

機種検出器線量
Polimaster PM1703MO-1B シンチレーション式 0.00μSv/h
TERRA Bluetooth(黒) ガイガーミュラー管 0.04μSv/h
TERRA-P(黄) ガイガーミュラー管 0.04~0.05μSv/h
HORIBA PA-1000 Radi シンチレーション式 0.001~0.004μSv/h
クリアパルス Mr.Gamma A2700 シンチレーション式 0.000~0.002μSv/h
RADEX RD1503 ガイガーミュラー管 0.02~0.09μSv/h
RADEX RD1008 ガイガーミュラー管 0.02~0.04μSv/h
Polimaster PM1912 ガイガーミュラー管 0.00~0.01μSv/h
Polimaster PM1710A シンチレーション式 0.00μSv/h
Polimaster PM1703MA シンチレーション式 0.00μSv/h
Polimaster PM1703MO-1 シンチレーション式+GM管 0.00μSv/h
Polimaster PM1703MO-1B シンチレーション式+GM管 0.00μSv/h
Polimaster PM1405 ガイガーミュラー管 0.00μSv/h
Polimaster PM1621 ガイガーミュラー管 0.03μSv/h
Polimaster PM1610 ガイガーミュラー管 0.02μSv/h
Polimaster PM1208M ガイガーミュラー管 0.03μSv/h
Polimaster PM1203M ガイガーミュラー管 0.03μSv/h
RAE Systems DoseRAE2 シンチレーション式 0.01μSv/h
テクノAP TA100U 半導体式 0.00~0.01μSv/h
テクノAP TS100 シンチレーション式 0.000μSv/h
Coliy Radiation Monitor 900+ ガイガーミュラー管 0.03μSv/h
Coliy RM600 ガイガーミュラー管 0.02~0.07μSv/h
Inspector+ ガイガーミュラー管 0.02~0.08μSv/h
RAE Systems GammaRAE II シンチレーション式 0.00μSv/h
PKC-107 ガイガーミュラー管 0.07μSv/h
GAMMA-SCOUT ガイガーミュラー管 0.07~0.09μSv/h
ヤマガタ共同 ガンマイレブン シンチレーション式 0.02μSv/h
iMetry シンチレーション式 0.00299μSv/h

測定回数などは厳密ではないので,あくまで一例としてみていただければと思います.

シンチレーション式のものは,やはり全般的に0.00~0.01μSv/h程度となっており,自己ノイズのようなものがほとんど無いことが分かります.

ガイガーミュラー管でも,機種毎に差はあるようです.
試した中では,RD1503 は大きめに表示される傾向があるように感じました.
この結果からも,ガイガーミュラー管をつ買った測定器では,0.1μSv/h以下などの低線量での測定時は,0.02~0.03くらいは高めに出ると考えた方が良さそうです.

ガイガーミュラー管の機種は,β線に感度を持つものもあります.
今回は鉛ブロックで囲ったため,鉛の同位体から出るβ線を拾っている可能性があります.
ガイガーミュラー管の機種でβ線に感度をもつものは,全般的に高めの傾向なので,そういった影響もありそうです.

PM1703MO-1Bはシンチレーション式&ガイガーミュラー管の両方搭載タイプですが, 線量率の表示についてはシンチレーション式の検出器の方を使っているようです.

自己ノイズの原因(2012/10/12追記)

自己ノイズは,GM管そのものを構成する金属やガラス等からでる自然放射線が主な原因のようです.
(非破壊検査株式会社の藪下延樹様より教えて頂きました)


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