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FUIJapan デジタルMCA MCA-13001+2インチNaIプローブ レビュー

@tokutokugeiger さんからデジタルMCAと,2インチNaIプローブをお借りすることができました.ありがとうございます.
FUIJapanというサイトで測定器を販売されている方です)

BecqMoni For FUIJapan というベクモニの有償バージョンと組み合わせて,スペクトルの表示・線量率の表示・Bq/kgでの測定が行えます.

FUIJapan デジタルMCA MCA-13001について

PCと接続して使用するデジタルMCAです.
価格はデジタルMCA部分が128,100円で,プローブについては2インチが262,500円 3インチは420,000円で発売を予定しているとのことです.
BecqMoni For FUIJapan というベクモニの有償バージョンも上記MCAの金額に含まれます.

特徴としては,

デジタルMCA
ベクモニをベースにしたソフトウェアを使いますが,波高の解析はMCA内部で完結するため,ベクモニ側での調整が要りません.
購入したプローブを繋げれば,すぐにスペクトルの測定,線量率の測定が可能です.
(エネルギーに関しては,誤差を無くしたい場合は校正が必要です)
プローブは個別に調整が必要なため,同時に購入できる2インチNaIのプローブ以外の場合は,別途相談となるようです.
BecqMoni For FUIJapan
同時に使用するソフトウェアはベクモニのデジタルMCA対応バージョンです.
ベクモニの使いやすいスペクトラム測定機能が使え,線量率も表示可能です.
また,係数を自分で調整する必要がありますが,遮蔽容器と一緒に利用すればベクレル測定も可能です.

お借りしたもの

お借りしたものは次のようなものです.
ケースの中に,デジタルMCA,2インチNaIプローブ,ケーブルが入っています.

黒いケースに入ったものがデジタルMCA本体です.
片側にUSB端子,電源用端子,反対側にプローブを繋げるためのコネクタがあります.
PCに繋げて使う場合は,USB給電で動作するので,通常電源用端子を使う必要はありません.

2インチのNaIプローブです.

大きさ比較のために,CD,PM1703MAと一緒に移してみました.

ソフトウェア

ソフトウェアはベクモニがベースとなっていますが, アナログ用のベクモニをデジタル用に改良したものになっています.
また,線量率表示の機能も追加されています.

デバイス固有設定にデジタルMCAの設定があります.
パラメータは事前に設定済みのため,接続ポートを選び, 後はONボタンと,高電圧の横の設定ボタンを1度押せば,測定が出来る状態になります.
今は2つのボタンがありますが,製品版では製品ボタンが無くなり,ONボタンを押すだけで使えるようになるそうです.

このデジタルMCA+2インチNaIで,バックグラウンドと手元の線源を測ってみました.
それぞれの画面と,SPViewerでスペクトルファイルを確認できます.

NaIプローブは温度変化でエネルギーがずれてしまいますので,校正が必要です.
Cs137とK40などを測定し,ベクモニの画面でピーク部分を2箇所選んで校正を行います.
また,ベクモニではスペクトルを保存した後に,後からファイルを開いて校正することも出来ます.
その場で校正する時間がないときは,校正用にCs137・K40などを測ったスペクトルを最初に保存しておけば, あとで調整することが出来ます.

今回は,測定前にCs-137とやさしおで校正を行いました.
30分ほどの測定スペクトルで校正しましたが,K40のピークは少し読み取りづらく,その点で誤差があるかもしれません.

以下のような感じで2箇所ピックアップして,エネルギー値を入力して校正します.

なお,エネルギーがずれるのは温度変化が原因なので,室温を一定に保つなどすれば改善します.
また,ベクモニ側で温度補正機能を付ける予定もあるそうです.

核種 測定時間
1分 10分 1時間
東京都品川区
バックグラウンド
SPViewer
ベクモニ画面
SPViewer
ベクモニ画面
SPViewer
ベクモニ画面
Cs-137 SPViewer
ベクモニ画面
SPViewer
ベクモニ画面
SPViewer
ベクモニ画面
Co-60 SPViewer
ベクモニ画面
SPViewer
ベクモニ画面
SPViewer
ベクモニ画面
Na-22 SPViewer
ベクモニ画面
SPViewer
ベクモニ画面
SPViewer
ベクモニ画面
Ba-133 SPViewer
ベクモニ画面
SPViewer
ベクモニ画面
SPViewer
ベクモニ画面
Mn-54 SPViewer
ベクモニ画面
SPViewer
ベクモニ画面
SPViewer
ベクモニ画面
Cd-109 SPViewer
ベクモニ画面
SPViewer
ベクモニ画面
SPViewer
ベクモニ画面

ベクレル測定

2インチNaIは感度も高いので,鉛容器と組み合わせれば食品測定にも活用できます.
Bq/kg測定のための調整方法はベクモニと同等ですので,設定については チャッピー検出器&ベクモニ レビューにあるROI設定の部分を行う形になります.

チャッピー検出器ではセシウム全体で1つのROIとしましたが,この2インチNaIであれば分解能も高いので, Cs134/Cs137を分けたROIでも実用的だと思います.
(校正用の線源を別途入手する必要はあります)

まとめ

ベクモニベースの製品ということで,チャッピー検出器やGS-1100A系のような製品イメージですが, 専用のMCAのため,アナログであった調整のめんどくささや,PCのサウンドカードとの相性問題がありません.
わたしの環境ではチャッピー検出器もGS-1100A系も相性が悪く,分解能がかなり下がってしまいましたが, この製品ではそういった問題が起きず,どのPC環境でも使えるのが良いところだと思います.
付属のプローブの分解能はかなり良好でした.

価格が安いことと,ベクモニベースで自前でROI設定などを行い設定できるのが良いところだと思います.
また,線量率の表示が出来るのもこの有償版のみの特徴です.
2インチのNaIプローブを繋げれば,かなり短時間で安定した線量率を読み取ることが出来ます.

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