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線量率の変動比較・第2回 (2011/10/02)

放射線測定器・ガイガーカウンターは,その感度や内部の計算ロジックの都合上, 線量率がふらついて表示されることがあります.

そこで,6機種で安定度を調べました.
前回からTA100が抜けて(ファームアップ中),新たにお借りした RadEye PRD-ER を入れての測定です.

RadEye PRD-ER については@drnamichanさんから, RD1008については 晴れなん堂 さんから,PM1621,PM1703MAについてはたろうまるさんからそれぞれ測定器をお借りしました.
ありがとうございます.

測定方法

品川区五反田のマンション中層階の窓際で,カーペットの上に測定器を並べて, それぞれの線量率を確認しました.

時定数・サンプリング時間がある測定器はその間隔で,そうではない機種では1分ごとに数値を読み取りました.

ただし,RadEye PRD-ER については,サンプリング時間16秒ですが,そのことに気づく前に試験してしまったので,1分毎の読み取りになっています.

測定機種と測定結果

測定機種と,その特性をまとめると以下のようになります.

機種名 測定タイプ 感度
(cpm/μSv/h)
時定数・サンプリング時間 スペック上での読み取り毎の
カウント数
(0.1μSv/hのとき)
スペック上での読み取り毎の
誤差
(0.1μSv/hのとき)
測定結果
堀場 PA-1000 Radi 移動平均 2000 60秒 200 ±7.1% 0.049 ± 0.001μSv/h (±2.7%)
RadEye PRD-ER 移動平均 9000 16秒 2400 ±2.0% 0.028 ± 0.002μSv/h (±6.6%)
RAESystems DoseRAE2 時定数? 不明 不明 不明 不明 0.054 ± 0.001μSv/h (±2.6%)
RADEX RD1008 移動平均 100~300?
200と仮定
2分48秒 56 ±13.4% 0.074 ± 0.007μSv/h (±8.9%)
Polimaster PM1621 積算 不明 不明 不明 0.066 ± 0.001μSv/h (±2.1%)
Polimaster PM1703MA 積算 6000 600 0.049 ± 0.001μSv/h (±2.0%)

移動平均タイプというのは,一定時間ごとの数値を表示するタイプです.
一定時間は利用者が選択できたり,線量率に応じて自動選択される場合があります.

時定数タイプというのは,アナログ的な計算で直近の測定結果を重視するタイプです.
時定数の時間が経過すると約63%変化し,2倍経過で86%,3倍経過で95%まで変化します.

積算タイプというのは,線量率が変化したと検知しない限り,より長時間の測定結果を元に正確な数値を表示しようとするタイプです.
こちらは移動しないときは正確な数値が読み取れる反面,移動しながら使う場合は,表示されている線量率がどの範囲の測定結果なのかわかりにくいという欠点があります.

DoseRAE2については,時定数タイプで自動選択される機種だと思いますが, 細かい条件がマニュアル等に記載されておりませんので,?付きで記載しました.

機種毎の測定結果の詳細

各機種の測定結果とグラフです.
グラフ下のリンクをクリックすれば元データを確認できます.

堀場 PA-1000 Radi


元データ

ばらつきはありますが,ほぼ±0.01μSv/hの範囲です.
他機種と違い,この機種は小数点以下3桁まで表示しますので, グラフ上では点がばらついていますが,0.01μSv/h単位に四捨五入した数値で考えれば, かなり安定していると言えると思います.

RadEye PRD-ER


元データ

9000cpm/μSv/hの高感度機種ですが,サンプリング時間が16秒と短いために,数値はよくかわります.
しかし,±0.01μSv/hの範囲に収まっています.

今回は1分単位で読み取ってしまったので,他の測定器に比べてデータ数が1/4です.
そのため,結果の誤差が大きめになってしまっています.

また,他機種に比べると線量が小さくなっていますが,この機種はエネルギー補償がしっかりされており, マニュアルに補正の性能についてもきちんとした資料が記載されています.

エネルギー補償がある機種もありますが,ガイガーミュラー管を利用した物は自己ノイズ等による誤差が大きい… という状況があるようですから,この機種の方が正確かもしれません.

個人的な感触ではこのくらいの線量が本当の線量では?とも思いますが, 他にエネルギー補償された高級機を持っていないので,判断できないところです.(^^;

RAESystems DoseRAE2


元データ

時定数が不明ですが,おそらくかなり長めの時定数を持っているのだと思います.
0.05と0.06しか表示しておらず,安定しています.

RADEX RD1008


元データ

サンプリング時間が2分48秒と長めですが,そのおかげもあってかなり数値は安定しています.

Polimaster PM1621


元データ

積算タイプのため,時間が経過すると安定します.
今回もリセット直後から計り始めましたが,前回と異なり開始直後から安定しています.

Polimaster PM1703MA


元データ

高感度&積算タイプのため,非常に安定した表示です.
途中で0.04から0.05になりましたが,ふらつきも無く安定しています.

左の軸では小数点以下3桁まで出てしまっていますが,この機種の画面表示は小数点以下2桁までなので, 最初0.04,その後0.05で安定です.

まとめ

1時間程度かけて測定しましたが,1回だけの測定ですので,結果はたまたまという可能性もあります.
それでも,結構機種毎の違いなどが見えたのではないかと思います.

前回の測定結果も合わせて参考にして頂ければと思います.


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